気まぐれ渡航日記 #5 「帰国」作成者:小椙優真

パラグアイ渡航レポート

9月11日。
コロネル・オビエドにて、プロジェクトの修了式典が行われた。
JICA×横浜国立大学 草の根技術協力事業 はフェーズⅡの終了を間もなく迎える。

修了式典。
そこには私が作成した映像が流れる。

藤掛洋子教授がパラグアイに出会ってから今に至るまでを回想する。
そして、この地のプロジェクトで、大きな成長を遂げた受益者女性たちの声を聞き、藤掛教授が与えたインパクトの大きさを改めて感じる。

誰もがその功績と、受益者女性たちの努力に拍手を送り、その場が暖かい空気に包まれる。藤掛教授も、心なしか安堵に近い表情を浮かべている。

それもそのはず、この現場では様々な人の思いが交錯する。
受益者女性たち、カウンターパート大学、調整員、その他にも多くのメンバーが関わり、当然、人の数が増えるほど、思いの数が増える。

映像を作る、それだけのことでも、当然数々の関係者の思いは募る。
外部者の私には分からない価値と、外部者だからこそ気付ける価値。
その思いが交錯しながらも一つのプロダクトを作る、という作業は途方もなく、故に挑戦の価値がある。

それぞれの思いに応えながら作成した映像は、果たして誰しもを納得させたのか。
その疑問はきっとずっと分からないだろう。
ただ一つ言えることは、最善を尽くすためのコミュニケーションを怠ってはいけない、ということだろう。

動画一つでこれだけ悩めるのだ。
このプロジェクトの推進に、どれだけの思いが乗っていたかは言うまでもない。
それを了解した上で、一つの道に進まなくてはならないのだ。
ああ、やはりこれは実際に体感しなくては分からない。どれだけ苦しかっただろうか。

そんなことを思いながら、時を過ごしていると、気付けば帰国の時刻を迎えていた。
この日の夕方の便で、日本に帰るのだ。昼過ぎには出なくてはならない。
最後に流れた映像を見届けると同時に、空港へと向かう。

昨日の送別会でもらったお土産のシャツを着て、カバンを握りしめて、思い出を握りしめたまま、ホストマザーの運転で空港まで向かう。その車の中で、南米で過ごしてきた3週間に思いを馳せる。

現地でしか得られなかったもの。
その全てはここに書き連ねてきたことだ。

座学では気付けない、身体をもってして初めて分かること。
その感覚を私は忘れずにいたいのだ。

南米から日本までは、
その移動時間の長さよりも、身体の疲労の溜まり具合と髪の毛のちじれ具合で思い出せる。日本に降り立った時、その蒸し暑さで帰ってきた事実を実感する。

ああ、生きている。
私はそう思いたいのかもしれない。

やっぱり、現地での学びは最高だった。
この貴重な体験をまた出来るように。

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