パラグアイの貧困

こちらでは、パラグアイにおける貧困の状況についてご紹介します。

目次

赤土道(テラロッサ)と貧困

世界銀行のデータによると、2019年のパラグアイの貧困率は、23.5%です。
同年の都市部の貧困率が17.5%であるのに対し、農村部では33.4%と農村部での貧困率がとても高いことがわかります。

農村部での貧困率が高い理由の一つに、国内の多くの道路が未舗装であることがあげられます。パラグアイの多くの道路が、下の写真のようなテラロッサと呼ばれる赤土道です。

テラロッサ

パラグアイでは、1954年から1989年の35年間、ストロエスネル大統領による独裁政治が行われていました。ストロエスネルは、農民の政治への気付きに恐れ、都市の農村を分断するために故意にインフラの整備を行わずテラロッサを残したとされています(稲森 2000;藤掛 2003)。また、現在まで赤土道の舗装が進まないのは、汚職が要因であるとされています(藤掛 2018)。

ジェンダー問題と貧困

パラグアイでは、女性の給与は男性の給与の約60%であり(外務省 2017)、月収は男性を100とした場合、女性は72.4であるなど、貧困の女性化が指摘されています(Alfonso 2015;藤掛 2018)。

また、女性に雇用の機会が開かれていないことが貧困の女性化を促進しています(藤掛 2018)。さらに、シングルマザーや女性世帯主が多く、そしてそれらの世帯が男性世帯主の世帯よりも貧困度が高いといった問題もあります。

*パラグアイの女性の状況について、詳しくはこちらをご覧ください。

先住民と貧困

外務省のデータによると、パラグアイの国民は95%がメスティソ(混血)、先住民2%、欧州系2%、その他1%となっています。先住民は5語族、17の民族集団から構成されています(青木 2003)。

大橋(2018)によると、先住民の貧困率は66.2%(非先住民は25.7%)、極度の貧困率も34.4%(非先住民は3.9%)であり、先住民の人々の貧困率が非常に高いことがわかります。

先住民の貧困率の高さは、土地の問題や就学年数の低さ、スペイン語を話せないために仕事を得にくいことなどが要因となっています。
先住民の多くは農村部で暮らしていますが、なかには食糧不足や土地の問題によって故郷を離れざるを得ず、都市で手工芸品の販売をしながら路上生活を送っている人々もいます(青木 2003;大橋 2018)。

*参考文献は以下の通りです。
Alfonso, Dahiana E. Ayala(2015)’ Feminización de la Pobreza: Incorporación de la perspectiva de género para entender la multidimensionalidad de la pobreza’. Pobacion y Desarroo; 21 (41): 17-28.
青木芳夫(2003)「パラグアイにおけるグアラニー語と先住民族」『総合研究所 所報』,奈良大学総合研究所,11号,pp. 87-107.
藤掛洋子(2018)「パラグアイ農村女性の生活改善プロジェクト:農村女性のエ ンパワーメントとJICA草の根技術協力における大学の役割」『常盤台人間文化論 叢』,4巻1号,89 – 114.
外務省(2017)『平成28年度外務省 ODA 評価パラグアイ国別評価(第三者評価) 報告書』.
―――(2020)「パラグアイ共和国基礎データ」(2020年11月25日更新)
大橋怜史(2018)『パラグアイ共和国の都市貧困に関する研究~A 川 沿いに住む貧しい人々の暮らしを中心に~』,卒業論文,横浜国立大学.
World Bank (2020) “Poverty headcount ratio at national poverty lines (% of population) – Paraguay

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