ここではパラグアイの教育事情を中心に、パラグアイの子どもたちの置かれている状況についてご紹介します。
目次
パラグアイの教育事情
パラグアイでは、1992年憲法で永続的な教育権の保障が示されたことから「教育改革の年」と位置づけられ、1994年以降には基礎教育の完全普及を柱とする国際的な教育達成目標や教育協力の潮流の下、カリキュラムの見直しや教員の待遇改善を含む様々な改革計画が策定され、実行に移されてきました(牛田2021: 1-2)。その取組の成果として、教育の基盤整備はある程度は進められたものの、2015年にラテンアメリカ域内にて実施された小学3年生と小学6年生を対象とした国際的学力調査(言語:読解力・作文能力、算数、理科)では、全ての強化が生きない平均点を下回っており、今後は子どもの学力を向上させるための教育の質的向上が求められています(ibid.: 10-11)。
グアラニー語教育
1992年に制定された憲法149条はグアラニー語をパラグアイの公用語の1つである示したことで同言語の社会的地位を向上させ、母語話者としての自尊心を高め(青砥2008:9)、グアラニー語はパラグアイ人のアイデンティティとなったとされています(藤掛2021:36)。1995年から2021年まで、初等教育において、グアラニー語を義務化した「バイリンガル教育計画(Plan de Educación Bilingüe)」が実施されました。パラグアイの多くの人々は、スペイン語、グアラニー語、あるいはグアラニー語とスペイン語の混成言語であるジョパラ(jopará)を話します(ibid.)。
2015年には、大学でのグアラニー語の単位取得が義務づけられ、建築学部・医学部・法学部のようにグアラニー語話者と接触が多いと想定される職業に就く学生は、グアラニー語でコミュニケーションがとれる能力を習得することが求められ、カリキュラムも変更されました(藤掛2017、藤掛2021)。他にも、パラグアイ最高裁判所は、2013年8月から2020年5月までに行われた裁判のうち6件の裁判事例を掲載し、全てグアラニー語で司法判決が行ったことを公表し、話題となりました。
2021年で前述の「バイリンガル教育計画(Plan de Educación Bilingüe)」は終了することになっています(藤掛2017)。しかし、今後もグアラニー語やジョパラが継承できるよう必要な人々にグアラニー語教育の予算を配分するなど、新たなグアラニー語教育を展開していくことを期待しています。
パラグアイの子どもたちのためのミタイ基金の取り組み
ミタイ基金では、子どもへの支援活動の一環として学校建設を行っています。皆様のご支援のおかげで、現在まで幼稚園1舎、小学校3校を立てることができました。ミタイ基金の学校建設の具体的な取り組みは、こちらから御覧いただけます。
従来のパラグアイにおける義務教育は初等教育(Educación Primaria)の6 年間のみでしたが、1998 年より中等教育(Educación Secundaria) の前期課程が義務化され(施行率は68%)、合計9 年間の基礎学校教育課程(Educación Escolar Básica:EEB )となりました。中等教育前期(日本でいう中学校)が義務化されたものの、農村部では中等教育の施設がない状況が続いたため、今後は本基金の活動を通じて建設した学校をより充実させ、中等教育ができるように支援をして参りたいと思います。応援どうぞ宜しくお願いいたします!
青砥清一(2019)「パラグアイの言語法について—バイリンガル教育政策と少数先住民族言語との間の摩擦」、『グローバル・コミュニケーション研究』、Vol.8、神田外語大学グローバル・コミュニケーション研究所、pp.97-108。
藤掛洋子(2017)「パラグアイにおけるグアラニー文化と表象」、『ラテンアメリカ時報』、ラテンアメリカ協会2017年秋号(No.1420)pp.42-45。
藤掛洋子(2021)「グアラニー語」『ラテンアメリカ文化事典』丸善出版、pp358-359。
牛田千鶴(2021)「国際標準の学力と質的向上をめざすパラグアイの教育改革」、『アカデミア. 社会科学編』、南山大学、第20号、pp.1-12。

