2026年3月、古今書院より、ミタイ基金理事長・藤掛洋子(都市イノベーション研究員・教授/横浜国立大学都市科学部長)が共著した『開発人類学とは何か―つなぐ・共生・アドボカシー―』(関根久雄編)が刊行されました。
本書は、「開発=経済成長」という従来の考え方から、現地の人々が自らの幸福を追求し、主体的に関わることのできる開発へと視点を広げ、人類学が国際協力や地域社会の現場で果たしうる役割を、理論と実践の両面から考える一冊です。
藤掛洋子は、第9章「パラグアイ『農村女性』と夢を紡ぐ―理論と実践の往還を通して―」を執筆しています。
本章では、パラグアイで展開されてきた国際協力、とりわけJICA草の根技術協力事業での実践をもとに、文化人類学やフェミニスト人類学の視点から、国際協力の現場に生じる矛盾や課題について考察しています。
その中で、パラグアイの農村女性たちが自らの可能性を広げていくエンパワーメントやエージェンシーのあり方に着目するとともに、国際協力に携わる者と地域の人々との関係を、一方向的な「支援する/される」という関係だけではなく、互いに「つなぎ・つながれる」営為として捉え直しています。
長年にわたるパラグアイでの実践と、文化人類学・ジェンダー研究の理論を往還しながら、地域の人々の主体性を尊重した国際協力とは何か、そしてジェンダーの視点に立った開発人類学にはどのような可能性があるのかを考える内容となっています。
ご関心のある方は、ぜひご一読ください。

